ACL“日本人最多得点FW”が切望する王者の称号 「そろそろ嬉しい思いをしたい」
「正直、悔しい思いのほうが多かったから…」
興梠は決勝第1戦の前に、日本代表に選出されて欧州遠征に参加していた。結局、ブラジルとベルギーを相手にした2試合で出番はなく、ベルギーからドイツ経由でサウジアラビア入りする強行軍になった。それでも後半終了間際までプレーし、チームのために死力を尽くした。
興梠が浦和に来て5シーズン目が終わろうとしている。その間、昨季のルヴァンカップ優勝はあるものの、国内三大タイトルでは全大会で2位を経験してきた。それだけに「正直、悔しい思いのほうが多かったから。そろそろ嬉しい思いをしたいのでね」と、少し照れ屋な面があるエースらしく静かな闘志を表現した。
今季はリーグ戦で得点ランキング首位に並ぶ20得点をマークするなど、そのゴールハンターぶりが際立つシーズンになっている。しかし、元来の興梠はチームが点を取るために全力を尽くすというスタンスであり、それは変化がない。決戦まで1週間を切っても「サポーターの期待に応えられるように頑張りたいですけど、誰が決めても良いので勝ちたい」と、あくまでも勝利とタイトルを望んでいる。
前線での万能性を武器に浦和の攻撃のキーマンとして過ごした5シーズン、自身のキャリアで最大の目標とも言えるACL制覇に向けて、エースは自然体かつタイトルへの渇望を胸に運命の一戦に臨もうとしている。
【了】
轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
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