U-22日本代表、中島の2発でベトナム撃破! 五輪最終予選進出に王手
強気な背番号10が勝利に導く2発、U-23アジア選手権予選I組首位をキープ
U-22日本代表は29日、マレーシアのシャーアラムスタジアムでU-22ベトナム代表と対戦し、2-0で白星を飾った。前半43分にMF中島翔哉が先制点。後半ロスタイムにも中島がダメ押し弾を挙げた。これでリオデジャネイロ五輪1次予選を兼ねたU-23アジア選手権予選I組首位をキープ。来年1月の最終予選進出に王手をかけた日本は、31日にマレーシアと対戦する。
手倉森誠監督はこの日、海外でプレーするMF南野拓実(オーストリア1部・ザルツブルク)と、FW久保裕也(スイス1部・ヤングボーイズ)を公式戦で初めて先発起用した。だが、日本は序盤から引いて守るベトナムに手を焼いた。決定機をつくるも、なかなかゴールを割ることができず。ヤキモキする展開が続いた。
しかし、若き日本の背番号「10」がベトナムゴールをこじ開け、待望の先制点を挙げた。
前半43分、南野が右前方にボールを入れると、フリーでパスを受けた中島がドリブルで中央に切り込む。一度は相手DFに行く手を阻まれかけたが、これを南野がフォロー。最後は中島が再びボールを預かり、左足でゴールネットを揺らした。
伸び盛りのMFはこれまで「世界一のプレーヤーを目指したい」と、強気な発言を繰り返してきた。だが、それを裏付ける確かな姿があった。
今季開幕前、所属するFC東京の宮崎県の都城合宿中に、短中距離走を何本も繰り返すトレーニングが行われたときだった。中島は、チーム内でも走りに憶えがある武藤嘉紀らがそろう先頭グループで常に一番前を走った。次第に 息遣いが荒くなり、表情がゆがむ。それでも先頭を譲ろうとはしなかった。ラスト1本で交わされると、悔しさをあらわにした。
本人は「僕はペースメーカーですから」とうそぶく。だが、一切の妥協を許さぬ姿勢は、鬼気迫るモノを周囲に伝えた。
「トップになるには、得点を取るだけではいけない。トラップや、パスも含めて、すべてが一流でないと。だから、すべてにこだわる。走りも限界までやらないと意味がない」
大真面目な顔で「海外移籍するときは、そのとき一番強いクラブにいきたい」と言う男だ。吐き出す言葉は前のめりになりがちだが、その道程を疎かにはしていない。
「一日、一日の成長度合いを上げたい。そうしないと、リーグでも活躍できない。ワンプレー、ワ ンプレーを大切にしなければ、その先はないから」
リオ五輪を目指すU-22日本代表では10番を背負う。この日も泥だらけになりながらも、攻撃だけでなく守備でも試合終了まで奮闘し続けた。
中島は大会直前、こうも語っていた。
「アジアの国が相手だと守ってくるからスペースを見つけないと。メッシはボールを持てる位置が良ければ打開できる。そこが今の課題」
その中島は試合終了間際にもゴールをねじ込んだ。この日の活躍には、まさに目指す形が集約されていた。リオを目指す伸び盛りのチームメートと共に、若き背番号「10」はさらなる成長を目指す。先行する自らの言葉に追いついたとき、より強い輝きを放つだろう。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images