井手口と“神様”ジーコの意外な関係 「もっと活躍して、見てもらえるように…」
「おめでとう、日本。おめでとう、井手口」
そして、今年の大会の真っ最中のことだ。8月31日、日本代表がオーストラリア戦で勝利し、アジア予選を突破したというニュースが飛び込んできた。そのワールドカップ出場権の獲得を決定的なものにする2点目のゴールを決めたのが、井手口だったのだ。
それを聞いたジーコは、息子か教え子の快挙であるかのように、それはもう喜んで、井手口と日本代表にメッセージを寄せてくれた。
「井手口が? そうか、それは良かった。おめでとう、日本。おめでとう、井手口! 再び大陸予選を突破したこと、そして6大会連続のワールドカップ出場に。これからもハードに頑張ることだ。ブラジル・ワールドカップより、良い結果を出してくれることを願っているよ」
そして今回、ブラジル戦でも存在感を示した井手口に、ジーコのメッセージに対する返事をもらった。
「あの大会に出場することで、あの年代からブラジルに行って、慣れない環境でやらせてもらいました。いろんなチーム、しかも、南米のチームとやることなんかないから、すごく良い刺激をもらったし、自分にとっては、あの年で本当に良い経験ができたんじゃないかなと思います。これから、もっともっと活躍して、ジーコさんにもっと見てもらえるように頑張りたいですね」
大会名にもなっている「日本とブラジルの友好」が、少年時代の大会中に限らず、プロになり、代表に上り詰めてからも続いていく――。それもジーコにとっての、大きな喜びの一つに違いない。
【了】
藤原清美●文 text by Kiyomi Fujiwara
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images