なぜミキッチはサポーターに愛されたのか? 広島の“大天使”が人々の心に遺したもの

「今では広島の部屋のほうがくつろげる」

 そして何より、ミキッチは広島を愛し続けた。広島発祥のパン屋さんで、日本で初めてセルフ方式の販売方法を確立させた「アンデルセン」や、ナポリピッツァオリンピックで金メダルを獲得した広島の知る人ぞ知るピザハウス「ピッツァリーヴァ」を「マイキッチン」と呼んで心から愛する一方で、日本のうどんや広島のお好み焼きも「大好きだ」と公言した。

 スーパーモデルとして世界的な活躍を続ける愛妻リュプカさんや愛娘たちと一緒に街を散歩している姿は、広島にとっては日常だった。愛妻のインスタグラムでは娘たちが日本語で母に手紙を書いたり、保育園の運動会でリュプカさんが激走している姿がアップされて、多くのサポーターの心を和ませた。

「広島は完璧な街だ。生活に不自由はなく、かといって大都会の息苦しさはない。特に、平和公園と宮島は最高だ。平和公園から宮島まで船で1時間もかからずに行けるけど、本当に美しく楽しい船旅になるんだ。ヨーロッパの友だちが『どうして文化も言葉も違う広島に住み続けることができるんだ?』と言ってくれば、僕は『広島に来てくれ』と言うんだよ。実際、ここに来た友だちはみんな言うね。『ミカの言葉が心から理解できた』と。僕はクロアチアにも広島にも家があるけれど、今では広島の部屋のほうがくつろげるくらいなんだ」

 

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