「パスセンスを磨いてもらった」 中村俊輔が絶賛、今も感謝する唯一無二の選手とは?
「FWにセンスを磨いてもらう」の真意
当時の中村にとって、柳沢のプレーは衝撃的だった。その動き出しの意図を理解すべく、「それまで以上に首を振って、周りの状況を意識するようになった」と振り返っている。先輩ストライカーは、中村の成長を語るうえで欠かせない存在であり、現在39歳となったレフティーは「ヤナギさんは、そういう感覚がずば抜けていた。本当にびっくりした」と、今でも称賛して止まない。
柔和な笑みを浮かべながら語る中村は、最後に次のように総括している。
「つまり、一連の動きが『そのタイミングで出せ!』というメッセージ。そうした流れを自分の中で全部イメージしたうえで、ヤナギさんは動き出していた。FWにセンスを磨いてもらうというのは、そういうことですよね」
名パサーの陰に名ストライカーあり――。二人の関係性が雄弁に物語っている。
中村俊輔インタビュー連載「天才レフティーの思考」
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大木 勇(Football ZONE web編集部)●文 text by Isamu Oki
神山陽平、ゲッティイメージズ●写真 photos by Yohei Kamiyama , Getty Images