中村俊輔が語る“海外処世術” 日本人選手の課題とは? 「良い子や紳士では生き抜けない」
時に批判も「点を決めればヒーロー」の世界
「スーパーマーケットでもサポーターに詰め寄られたこともあったし、車のタイヤを一個取られた選手もいました。確か4連敗した後だったかな。怒ったサポーターが練習中のグラウンドに乱入して、『お前ら、やる気あるのか!』って抗議するぐらいですからね」
カルチョ(サッカー)の国と呼ばれるイタリアのセリエAは、かつて“世界最強リーグ”とも称され、サッカー界の中心にあった。サッカー文化が根付いた環境のなか、中村はレッジーナの10番として、時には批判を浴びながら観客を魅了するプレーで着実に評価を高め、自らの地位を確立してきた過去がある。
「ただその代わり、点を決めればヒーロー。サッカーを大きく扱う新聞が4、5紙あって、サッカー選手のステータスも高い。ヨーロッパだとサッカー選手の存在価値は全般的に高いですからね。そういう意味で、周囲からのプレッシャーが日本と海外では全く違いました」
事実、中村は華麗なプレーと卓越したテクニック、そして武器であるFKで目の肥えたイタリア人を魅了し、現地で「東洋のバッジョ」と呼ばれた。今年10月14日のJ1リーグ第29節、敵地清水エスパルス戦(3-0)で中村が右コーナーキックから直接ゴールを決めた際には、現地メディアが伝えるなど、今でも「NAKAMURA」の衝撃は色褪せていない。