ケルン時代の長澤で思い出す姿 チームの武器を磨き、“個”を輝かせるためのトライ
チームの武器を磨き、自らも輝くために…
いや、その日のケルンはそうではなかったのだ。長澤が中盤でパス交換を入れる場面が何度もあり、そこからチームに少しのゆとりをもたらしていた。「長澤選手がボールを引き出したことで、リズムが生まれていた」と思ったことを伝えると、スッと頷いてから、ゆっくりと語り出してくれた。
「カウンター気味にアーリークロスとかで点を取ったりというのがうちの持ち味の一つだし、それが決まれば一番速い。そこは自分も考えてやっていきたい」
自分の武器が何かを理解している。その武器がチームの役に立つことも知っている。でも、その武器を生かすことがチームのためにならなければ意味がないことも分かっている。
だから、攻撃へのアプローチに取り組んでいた。よりゴールへの可能性を高める動き出しを求め、より相手にとって脅威になる場所でボールを受けられるように取り組んだ。
ケルンでは残念ながら、その成果を発揮することはできなかった。だが日本への帰国後も追い求めたであろう、そうしたチャレンジの連続が、今の長澤へとつながっている。
【了】
中野吉之伴●文 text by Kichinosuke Nakano
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
page1 page2