W杯予選“突破後”の日本代表と「海外遠征」 過去3大会に見る強化策の成果とは?
欧州遠征での活躍で14年W杯の主力に名乗り
▼2014年W杯(予選終了:13年6月)
13年10月11日セルビア(●0-2)
13年10月15日ベラルーシ(●0-1)
13年11月16日オランダ(△2-2)
13年11月19日ベルギー(○3-2)
アルベルト・ザッケローニのチームも、W杯前年の10月に欧州で試合を組んだ。セルビア、ベラルーシとのゲームは内容的にも見どころがなく、チーム内の空気が硬直する。それでも、11月にオランダと2-2で引き分け、ベルギーに3-2で勝利したことにより、チームは自信を取り戻すことができた。
オランダ戦でFW大迫勇也が、ベルギー戦ではFW柿谷曜一朗がゴールをあげ、ブラジルW杯の1トップ候補に名乗りをあげた。また、MF長谷部誠とダブルボランチを組むパートナーとして、MF山口蛍が評価を高めたのも11月の2試合である。
15年3月の就任から間もなく、ロシアW杯アジア予選に突入したバヒド・ハリルホジッチ監督のチームは、世界のトップ・オブ・トップと一度も対戦できないまま現在に至っている。アウェーでのテストマッチはアジアの国に限られ、W杯本大会で過去1分3敗(10年W杯パラグアイ戦のPK負けは引き分け)と勝利のない南米勢とは、ハビエル・アギーレ前体制下の14年10月に行われたブラジル戦(0-4)を最後に対戦がない。
それだけに、ブラジル、ベルギーと顔を合わせる今回の欧州遠征は、世界における立ち位置を知る格好の機会だ。発表されたメンバーには本田、FW岡崎慎司、MF香川真司らの名前がなかったが、経験の少ない選手や初招集の選手が可能性を感じさせるパフォーマンスを発揮することで、ロシアW杯へつなげてほしいものである。
【了】
戸塚 啓●文 text by Kei Totsuka
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images