W杯予選“突破後”の日本代表と「海外遠征」 過去3大会に見る強化策の成果とは?

岡田監督が探った二人のレフティーの共存

 W杯イヤーの2月に敢行したアメリカ戦では、FW久保竜彦のコンディションを確認した。怪我からの回復過程にあった“左の大砲”の復活を待ち続ける指揮官は、2月下旬のボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも久保をスタメンで起用する。ドイツを舞台とする一戦は海外組を含めたチームの最終的なテストの場だったが、久保のコンディションはなかなか上がってこない。

 こうしたプロセスを経て、ジーコは大久保でも久保でもなく、3月に国内で開催されたエクアドル戦(1-0)で決勝点を決めたFW佐藤寿人でもなく、2月のアメリカ戦でゴールを奪っていたFW巻誠一郎に辿り着いたのだった。

▼2010年W杯(予選終了:09年6月)
09年9月5日 vsオランダ(●0-3)
09年9月9日 vsガーナ(○4-3)
09年11月14日 vs南アフリカ(△0-0)
09年11月18日 vs香港(○4-0/アジアカップ予選)

 南アフリカW杯へ向かっていく前年の秋に、チームはオランダへ遠征した。岡田武史監督の下で08年1月から29試合を消化してきたが、そのうち22試合がアジア相手の公式戦とテストマッチで、欧州や南米相手のテストマッチもすべて国内で行われてきた。「W杯ベスト4」を目標に掲げるなか、敵地でのオランダ戦はチームの現在地を知る機会と位置づけられた。

 真っ向勝負を挑んだ一戦に戦力的なテストの要素はなかったが、唯一の例外はMF本田圭佑だった。VVVフェンロで好調を維持する当時23歳のレフティーは、W杯最終予選突破の立役者にして大黒柱の中村俊輔と共存できるのか。オランダ戦に続くガーナ戦や11月の南アフリカ戦も含めて、岡田監督は二人のレフティーの起用法を検討していくのである。

 南アフリカ戦については、W杯へのシミュレーションでもあった。03年10月のチュニジア戦以来となるアフリカ大陸でのテストマッチは、試合内容や結果と同じくらいにスタジアムの雰囲気を体感することに意味があった。

 

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