“輸入型リーグ”のイングランドが育成大国に? “輸出型”へ傾く日本の課題とは
ユース年代を席巻するイングランド U-17&U-20W杯をダブル制覇
何年か前にヨーロッパへ行った時に、「チェルシーTV」、「マンチェスター・ユナイテッドTV」など、クラブチーム専門番組を暇な時に見ていた。直近の試合や過去の名勝負、そして育成年代の試合も放映していた。その時にイングランドのユース年代の試合を見て驚いたのを覚えている。大袈裟に言えば“隔世の感”があった。
プレミアリーグと言えば、1990年代までは技術的に上手い印象がなかった。2000年代あたりから外国籍選手が増えて飛躍的にレベルアップしたけれども、イングランドの選手がレベルアップした感じはあまりなかった。ウェイン・ルーニー(エバートン)やスティーブン・ジェラード(元リバプール)など、もちろん個々には素晴らしい選手がいたとはいえ、強豪クラブでイングランド人選手があまり試合に出ていなかったからかもしれない。
育成年代となると、イングランドの印象は全くと言っていいぐらいにない。ところが偶然テレビで見た育成年代のプレーぶりは、非常にテクニカルかつスピードもあり、明らかに逸材揃いだったのだ。いつの間にこんなに上手くなったのか。
今年はイングランド代表のユース年代が、目覚ましい成績を残している。5月に行われたU-17欧州選手権では、決勝でスペインにPK負けしたものの準優勝。6月のU-20ワールドカップ(W杯)では初優勝、同じく6月に開催されたU-21欧州選手権はベスト4に進出した。7月のU-19欧州選手権に優勝、そして10月のU-17W杯では決勝でスペインにリベンジしての優勝。つまり、U-17、U-20という育成年代のW杯を同年に完全制覇したことになる。かつて、これほど育成年代が強かったイングランドは記憶にない。