ドイツ&J2経由で日本代表初参戦へ 「恩義がある」浦和で長澤が切り拓いた“輝ける場所”

浦和でぶち当たった選手層の壁 前体制ではストッパーで起用される日々

 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は、11月の欧州遠征に浦和レッズのMF長澤和輝を招集した。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)での活躍によって一気に脚光を浴びた感のある長澤だが、今季加入した浦和では夏過ぎまでほとんど出場機会のなかった選手だ。

 浦和への加入は、厳密には昨季になる。専修大学時代に特別指定選手としてプレーした横浜F・マリノスでは、ヤマザキナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)で1試合プレーしたものの、Jリーグではプロ契約せず、2014年にブンデスリーガのケルンに加入した。ドイツでも存在感を放っていたが、左膝靭帯の負傷もあり、16年1月に浦和が獲得。しかし選手層の厚さ、負傷明けであったこと、日本サッカー(Jリーグ)への慣れという観点から、初年度は浦和でプレーせずにJ2のジェフユナイテッド千葉へ期限付き移籍という形を取った。

 千葉でレギュラーとしてプレーし試合感覚などは取り戻した一方で、今季に“戻ってきた”浦和では選手層という要素は変化していなかった。ミハイロ・ペトロヴィッチ前監督は3-4-2-1システムを採用していたが、ダブルボランチはMF阿部勇樹とMF柏木陽介がファーストチョイスで、次にMF青木拓矢という序列がハッキリしていた。さらにファジアーノ岡山への期限付き移籍から復帰したリオデジャネイロ五輪代表MF矢島慎也も同時期に浦和に戻ってきたため、ボランチは長澤を含めて5人で2枠を争う状況になった。

 かといって、一列前の2シャドーでプレーしようにも、さらなる人数の飽和状態にあった。ペトロヴィッチ前監督は普段のトレーニングで、紅白戦をベースにメニューを組み立てるタイプであり、そうするとボランチが一人余ってしまう。長澤はボランチに入れなかった日には、控え組の右ストッパーを務めていた。チームのメンバーをガラッと入れ替えた天皇杯のゲームでも、ストッパーからスタートしてハーフタイムでボランチという試合もあり、満足な出場機会を得られる状況からは程遠かった。

 

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