恩師ミシャの誕生日に捧げた“無失点勝利” 浦和の守護神が抱くACL制覇への思い
「結果を残してミシャにお礼を言いたい」
このACLもラウンド16の済州ユナイテッド(韓国)戦までは、ペトロヴィッチ前監督とともに戦ってきた。西川にとってはサンフレッチェ広島時代からの恩師だが、奇しくもこの18日は“ミシャ”の愛称で親しまれたペトロヴィッチ前監督の60歳の誕生日だった。だからこそ西川は、改めてミシャへの感謝を口にしている。
「今の自分のプレースタイルや、プレーする楽しさを教えてくれたのはペトロヴィッチ監督ですよね。今シーズン、自分たちが結果を出せなかったことで責任を取って……。そういう申し訳ない気持ちは今でも持っています。それと同じく、ミシャへの感謝の気持ちは持っています。お礼はハッキリ言えていないですけど、自分たちが結果を残してミシャに対してお礼を言いたいですよね。ミシャが残してくれたものは数多くあるので」
GKを11人目のフィールドプレーヤーと公言して憚らなかったミシャとの出会いは、GKとして類まれなキック精度と足下の技術を持ち、それをゲームで発揮することを奨励された西川にとって財産になっている。今季は確かに失点に絡むミスもあった。それでも、西川のスタイルはミシャと長く時間をともにしたことで、一人のプロサッカー選手として代名詞となるようなものになった。
そうした思いがあるからこそ、西川は「ミシャのサッカーに素晴らしかったものは多々ある。それを自分の中に潜めるのではなく、今でもしっかりと出していきたい」と話した。試合が終わり、浦和サポーターの前で吠えるようなガッツポーズで喜びを表現した“笑顔の守護神”は、自身のスタイルを貫いてアジア王者を奪いにいく。それを達成できた時、恩師に最高の笑顔で「ありがとう」の言葉をかけにいけるはずだ。
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轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images