「トライアングル」とサイド攻略 欧州強豪3クラブに見る千差万別のアプローチ
トライアングルを作らなかったリバプール
もう一つ、プレミアの大一番であるリバプールとマンチェスター・ユナイテッドは0-0の引き分け。「バスを置いた」ユナイテッドに対して、リバプールは一方的に攻め立てたがついにゴールを割れなかった。
リバプールはMFフィリペ・コウチーニョとFWロベルト・フィルミーノのブラジル人コンビが打開を図り、エジプト人の快足ウイングであるFWモハメド・サラーも頑張っていたが、バルサやシティのようなトライアングルは形成していない。個と個の単発的なコンビネーションはあるものの、連動したパスワークはなかった。
ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督は、それも見越して守りきれると思っていたのかもしれない。ユナイテッドにとって脅威なのは、リバプールの速攻である。そこさえ封じれば、逆に自分たちも速攻には自信がある。このゲームでのリバプールの立場にはなりたくなかったのだろう。
ところで、オフト監督は「基本を教えている」と言われたが、本人は「基本ではない」と否定していた。オフト自身が参画していたオランダのユース育成プログラムを日本代表にそのまま教えていたので、確かに「基本」な感じは否めなかったのだが、オフトは「ディテールだ」と言っていた。
どれが基本でどれが応用というものではなく、サッカーを構成している一つひとつの要素であり、いずれも等価だという話だった。バルサ、シティ、リバプールのサイド攻略のためのトライアングルのありようを見ると、確かにそうかなと思う週末だった。
【了】
西部謙司●文 text by Kenji Nishibe
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images