「トライアングル」とサイド攻略 欧州強豪3クラブに見る千差万別のアプローチ
日本サッカーに「トライアングル」の用語をもたらしたオフトの功績
1992年にハンス・オフトが日本代表監督に就任すると、いろいろな用語が広まっていった。アイコンタクト、スリーライン、コンパクト、ターゲットプレー……。オフトはオランダ人だが、日本人にも分かりやすいようにシンプルな英語を使ってくれたので、用語はあっという間に広まっていった。
その意味するところを聞いてみれば、「なんだ、知ってたよ」という類のものばかりなのだが、本当に知っていたかといえば実はそうでもない。「どこかで見たことあるよ」か、「知らなかったけど、もうやってたよ」であって、なんと呼ぶのかは知らなかった。現象に名前が付いていなかったのだ。
最初に名前ありきで、名前を付けることで話は一気に早くなる。「ほら、あの白くてモチモチしていて中に甘いのが入っているやつ」の代わりに、「まんじゅう」と言えれば話が早い。「白くてモチモチ……」の説明だと、「あんまん」や「大福」と誤解される可能性もあるから、やはり名前はあったほうがいいのだ。その点で、オフトによる用語の導入は日本サッカーを整理するうえで大変意味があったわけだ。
オフト用語の中に「トライアングル」がある。三角形のことだが、パスワークにおけるトライアングルの作り方は一つではない。
例えば、左SB、左ウイング、左インサイドハーフの3人で三角形を作るなら、SBとウイングを結んだ線を底辺とした形がまず思い浮かぶ。しかし、これと反対にタッチライン側に頂点がある三角形もある。例えば、底辺がウイングとインサイドハーフ、その中間にSBがタッチライン際にいるという関係だ。