大波乱のW杯予選に見る「代表チーム不確実時代」 困難極める強化と進む“個”への依存
集まってすぐに試合の代表チーム “型”にはめるだけで進歩は見えない
ロシア・ワールカップ(W杯)出場が風前の灯火となっていたアルゼンチンがFWリオネル・メッシ(バルセロナ)のハットトリックで生き残り、コパ・アメリカ連覇のチリがブラジルに敗れて南米予選6位に転落、プレーオフにすら進めずに予選敗退となった。そうかと思えば、7大会連続出場中だったアメリカも北中米カリブ海予選を勝ち抜けず。アフリカ予選は全日程を終えていないものの、すでに前回大会出場国のアルジェリア、カメルーン、ガーナの敗退が決定。プレーオフを残している欧州予選でも、オランダがまさかの予選落ちとなった。
アジア予選も力が均衡していたとはいえ、W杯出場国は日本、韓国、イラン、サウジアラビアと終わってみればいつもの顔ぶれ。他の大陸と比べると、あれでも“無風区”だったわけだ。
代表チームの強化がますます困難になっている。まとまって練習をする時間などほとんどなく、集まってすぐに試合という寄せ集め状態。もちろん、代表というのは以前からそういうものではあったが、チームのベースがないところは本当に難しくなっていると感じる。
選手を集めて「さあ、ここから作っていきましょう」では、全然間に合わないのだ。集めた時には、すでにチームとしてでき上がっていなければならない。代表はこういうプレーをするというベースがあって、初招集の選手でも何をすればいいか、だいたい分かっているくらいでないと安定感は出てこない。
逆に言うと、その安定感だけに頼るから進歩がないとも言える。クラブチームの日進月歩ぶりと比べると、サッカーの質という部分ではかなり遅れている印象である。