黄金期の終焉と新帝国の建設

　もちろん補強して、体力的にも技術的にも、現在のファーディナンド以上のセンターバックを引き抜いてくるのかも知れない。

　しかし、あの勝ち気と陽気さに溢れた、男気満点の存在感は決して埋めようがない大きな穴になるだろう。

　26年間に及んだサー・アレックス時代が昨季で突如終焉し、モイーズが10か月の短命政権に終ると、ビディッチに続きファーディナンドが退団に追い込まれた。

　来季にはまた新監督を迎え、新たなチャレンジが始まるマンチェスター・Uだが、その一方で黄金時代を支えた最強戦士が次々とクラブを離れている。

　新帝国建設のため、一度は破壊も必要なのだろうが、ファーディナンドの退団は、サー・アレックス時代の終焉をまた新たに痛感させる出来事になった。

森昌利●文　text by Masatoshi Mori