日本代表「アピール度チェック」 ロシアW杯に一歩近づいた選手は?
FW:乾に別格感、武藤起用は新たな形に
■久保裕也(ヘント/→後半33分OUT)=×
逆サイドの武藤が中央に積極的に絡んで連動した一方、「前半は久保が(サイドに)開きすぎていた」と、チーム戦術の遂行具合が不十分だったことがハリル監督からも指摘された。機能性のある絡み方ができなかったなかで、前半34分に相手GKまで外した決定的なチャンスでシュートを枠内に飛ばせなかったのは痛恨だった。
■大迫勇也(ケルン/→後半15分OUT)=○
ポストプレーの安定感はさすがで、後半5分にPKを決めて得点者に名を連ねた。武藤が中央に切り込んでターゲットになり、大迫が前を向いてボールを受ける攻撃パターンが増えたのは収穫の一つ。だからこそ、その形で放ったシュートを枠に飛ばしたかった。
■武藤嘉紀(マインツ/→後半25分OUT)=○
「あまりサイドに張らず中央でプレーしてほしい」というハリル監督のリクエストに忠実に応えた。大迫とのコンビで新たな形ができたのは武藤を左サイドで起用したからこそで、その意味では攻撃オプションの一つとして印象づけたはず。一方で左ウイングは「(クラブで)2年間FWをやっているので」と久しぶりのポジションだっただけに、足元でボールを受けた後のプレーではインパクトを残せなかった。
■杉本健勇(C大阪/←後半15分IN)=×
結果的に、大迫との差が際立ってしまうような30分間だった。後方からのボールを引き出せないことで、Jリーグで見せている強さをアピールする機会を作れなかった。後半36分に、小林がニアのストーンを越えたところに落としてくる絶妙なCKを蹴ったが、そこに飛び込んでボールに触れなかったのが痛恨だった。
■乾貴士(エイバル/←後半25分IN)=◎
左ウイングで武藤とは異なる役割を担ったが、縦への突破とクロス、長友との良好な関係と、ある種の別格感を漂わせた。決勝点につながったクロスは「適当に蹴った」と笑っていたが、本職のポジションでプレーする選手だからこその感覚だったのは事実だろう。単純な戦力というだけでなく、“ジョーカー”としての評価も高めたのではないだろうか。
■浅野拓磨(シュツットガルト/←後半33分IN)=△
大きなミスもなかったが、目に見えるアピールと言えるプレーもなく不完全燃焼だったのではないだろうか。勝利が欲しい同点の残り12分で投入された切り札という意味では、自身のシュートが0本で、味方のシュートを導くような場面も作れなかったのは残念だった。
【了】
轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images