なぜ長友佑都は競争を歓迎するのか “ライバル論”を激白「レベルの低い戦いはしたくない」 

長友が語る「本当の競争意識」とは?

 それでも、長友はライバルたちとの関係性に自身の哲学があると語り、競争を歓迎している。

「同じポジションの選手、ライバルが活躍するなと思うようなレベルの低い戦いはしたくない。ライバルが試合に出て、その選手が活躍して、でも自分がそれ以上に活躍するというのが本当の競争意識だと思う。それが自分の中での哲学。ライバルに良いプレーをしてもらって、それ以上のプレーを自分がするというのを心掛けてきたし、それが自分自身もチームもレベルアップすることだと思う」

 長友は2011年冬にインテルへと移籍し、すでに6年半を過ごしてチームの最古参となっている。しかし、移籍市場のたびにインテルはサイドバックを獲得し、毎シーズン必ずポジションを争ってきた。昨季で言えばDFクリスティアン・アンサルディにポジションを奪われて冷遇された時期もあったが、長友は不死鳥のように復活してシーズン終盤にはレギュラーを奪還した。

 そのアンサルディが期限付き移籍でチームを去った今季も、ブラジル人DFダルベルトが新たに加入し、左サイドバックの定位置を巡って火花を散らしている。双方が交互にスタメン出場するような対等な関係で、一歩も譲らない争いをしている最中だ。

 しかし、長友が語った哲学こそがインテルで常に最終的なレギュラーを確保してきた原動力なのだろう。日本代表の左サイドバックの座を狙う存在は、ライバルの活躍すら成長の糧に変えてしまう男の強大な壁を打ち破らなければならない。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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