長友とハリル監督の奇妙な縁 代表デビューの地に高揚感「なんの奇跡が起きたのか」

「才能がなくても努力でやっていける」

 それと同時に、奇妙な縁がその試合には存在する。当時のコートジボワール代表を率いていた指揮官こそ、現在の日本代表を率いるハリルホジッチ監督だったのだ。代表デビューのスタジアムで、当時の相手チームの監督が現在の指揮官という状況に「ハリル監督がデビューした時にここにいたんだなと。そうやって不思議な縁は感じるんですよね。だから試合に出たら結果を出したい。コンディションも良いですからね」と意気込みを語る。

 これまで日本代表97キャップの長友。「10年間こうやって代表で試合をさせてもらいながら、最近は自分が小学校から高校くらいまでに代表チームをどう思っていたかと考えることがあるんですよね」と過去に思いを巡らせ、観る人たちへメッセージを送る。

「当時は憧れの存在どころか、考えられないような位置にいる人たちだったんですけど、そこに自分がいて100試合にいくかもしれないというところにいるのは、どこでなんの奇跡が起きたのかと。人生は分からないと思います。才能がなくても努力でやっていけるということを子どもたちにも伝えたいですよね」

 日本代表のダイナモとして、イタリアの名門インテルの最古参として、着実にキャリアを積み重ねてきた。しかし、その代表チームでのキャリアの原点は、この豊田スタジアム。ハリルホジッチ監督との不思議な縁もある思い出の場所で、長友はその誇りと喜びを胸にピッチを躍動するはずだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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