ハリルが否定した日本の「ポゼッション信仰」 強豪国に勝つために必要な要素とは?
日本がカウンターに活路を求めるのは現実的
ただ、デュエルが大事と力説するのはいいが、日本が例えばドイツやチリと対戦した際にデュエルで圧倒できるかと言えば、「無理」としか言いようがない。ハリルホジッチ監督がポゼッションなど問題ではなくデュエルこそが勝利の鍵だと言うのなら、攻守両面で勝たなければならないのだが、強豪国に日本がデュエルで勝てるとは到底思えないのだ。
ハリルホジッチ監督の言うとおり、大事なのはゴール前である。敵ゴール前でいかに1対1に勝ってシュートを決めるか、あるいは自陣ゴール前でそれを防ぐのか。その攻防こそが重要という意見には、大いに賛同する。
しかし、ここからの結論は監督とは異なる。だからこそ、日本にはポゼッションが必要なのだ。
単純にチャンスの数(ピンチの数)が同じなら、日本は強豪国には勝てない。日本選手がシュートできない、またはシュートを外しているうちに、リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドに決められて、0-2や0-3になっている。決定力も被決定機を阻止する力も、デュエルも劣勢なのだから、よほど運がなければ日本は負ける。
日本に勝機があるとすれば、チャンスの数で圧倒し、ピンチがほぼないという展開に持っていかなければならない。ポゼッションで言えば70%以上、それ以外は、まぐれで勝てるかもしれないだけだ。
ところが、日本はボールを圧倒的に支配しても、シンガポール相手にホームで1点も取れなかった実績がある。UAEにはホームで負けている。相手に引かれたら崩せないのだ。だから、強豪国に対してボールを70%保持して包囲できたとしても、チャンスの数は増えない。かえって日本が、相手のカウンターアタックの脅威に晒されるだけである。
そもそも、強豪国相手に70%以上ポゼッションするというのは現状でハードルが高すぎる……、そうなると、ある程度相手にボールを持たせたうえで、それに耐えうる守備を構築し、カウンターを狙うのが現実的な戦い方だろう。