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PSG内紛騒動に見る「PKとスター選手」 カバーニもネイマールも蹴るべきでなかった
ロナウドを納得させたストイチコフの威厳
元ブラジル代表FWのロナウドがバルセロナでプレーした1シーズンは、おそらく彼の全盛期だったと思う。1996-97シーズンに移籍した時の状況は現在のネイマールにやや似ていて、PK騒動もあった。本当はロナウドが蹴るはずだったPKを、ブルガリアの英雄フリスト・ストイチコフが横取りしたのだ。ただ、カバーニと違ってストイチコフはきっちりと決め、闘牛士のように少しずつ体を360度回しながら観衆の声援に応えていた。
「なぜなら、彼がストイチコフだからです」
なぜキッカーに決まっていたロナウドではなくストイチコフが蹴ったのか――記者会見で質問が出ると、ボビー・ロブソン監督は笑いながらこう答えた。ロナウドも特にストイチコフに抗議をしておらず、騒動に発展するようなことはなかった。
そしてPKは、スター選手であっても蹴りたい人ばかりではない。
1990年イタリア・ワールドカップ(W杯)決勝で、西ドイツ(当時)がアルゼンチンを1-0で破る決勝ゴールとなったPKは、アンドレアス・ブレーメが蹴ったが、本来のPKキッカーはキャプテンのローター・マテウスだった。しかし闘将は、「スパイクが足に合わない」という理由で拒否したのだ。
ただ、これはおそらく言い訳だろう。シューズメーカーからはピッタリあつらえられたスパイクが5、6足は支給される。いきなりW杯決勝で新品を履くはずがない。とはいえ、自信がなければPKキッカーを譲るというのも、一つの決断ではある。