『らしさ』を出し合った好ゲームを制した浦和 124日ぶりの勝利
運動量の落ちた湘南のスキを浦和が突く
湘南は、試合開始から激しくプレスをかけて豊富な運動量と攻守の切り替えの速さで主導権を握った。浦和も後方から積極的に縦パスを入れて攻撃のコンビネーションを発動させた。前半が終わった時点では、どちらに転んでもおかしくはない展開だった。だが、後半は湘南の運動量が衰え、浦和に主導権を握られた。
後半の浦和の得点シーンはいずれもすばらしかった。次から次へと人がゴール前に飛び出す湘南のお株を 奪うような得点シーンが続いた。
2点目は、遅れて上がってきた宇賀神に対して湘南のマークが遅れ、フリーの状態から狙いすましてシュートを放った。3点目は、センターバックの那須が最後尾で奪ったボールをFW高木俊幸に預け、好機と見るやそのまま最前線まで駆け上がってネットを揺らした。この場面も後方から攻め上がってきたMF青木拓矢に対して湘南のマークが遅れ、フリーで上げたクロスからのヘディングだった。
湘南はカテゴリーが違うとはいえ、昨季は先制しながら逆転された試合はゼロだった。短い時間で連続して失点することもほとんどなかった。最初からフルスロットルで入ったことでチャンスはつくったが決めきれず、運動量が落ちたところを突かれて勝利を逃した。それはむ しろ昨季終盤から見せていた浦和のもろさに重なって見えた。それぞれが『らしさ』を見せた開幕戦ではあったが、最後のところでいつもの“ソレ”が入れ替わった。
この日の結果は、互いに成長の余地が残されていることも図れた試合内容だったはずだ。湘南も、浦和も、これから続く長いシーズンをかけて自らのスタイルを進化させ、『らしさ』の正しさを証明していくはずだ。
【了】
野口学●文 text by Manabu Noguchi
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images