大量リードは最大の罠か 川崎のACL大逆転負けに見る「意識しない」に潜むリスク
「あの失点が一つのポイントとなった」
ホームでの第1戦で大量リードを奪ったチームが、アウェーでの第2戦で惨敗する――。なぜ、このようなどんでん返しが、アジアや世界のトーナメントで頻発しているのか。
もちろん、その時のチーム状況は異なるため、それぞれが抱える問題や大逆転劇を生んだ要因は異なる。今回の川崎にとっては、前半の段階でDF車屋紳太郎が退場してしまったことが、歯車を狂わせる大きな要因となった。
一方で、やはり精神的な部分においても、抱える問題は小さくなかったようだ。ディフェンスリーダーを務めるDF谷口彰悟は、試合途中からのプラン変更に対応し切れなかったことを悔いた。
「途中からは(リードを考えると)最悪一つ、二つの失点はやむなしという考えもなくはなかったし、後半からエドゥアルドが投入された時点で、これはリードを守り切るというメッセージだと受け取った。ただ、それでも勢いに乗る相手の圧力に耐えきれなかった」
合計スコアで同点とされた後半39分の3失点目の場面、ゴールを許した瞬間に膝から崩れ落ちる川崎の選手が多くいたのが印象的だった。それについては「間違いなく、あの失点が一つのポイントとなった。数的不利な立場で延長戦に持ち込むわけにはいかなかったので、もう攻めるしかない。だから、4失点目は仕方のない部分があった」と振り返った。
谷口とコンビを組んでいたDF奈良竜樹も、「受けに回っていたつもりはないが、いろんな条件がありましたからね。点差もそうだし、状況もそうだし。最悪、ああなってしまった残り45分は全部跳ね返してやろうと思っていたが、そう甘いものでもなかった」と、川崎が置かれていた状況の難しさを語った。