歴史的な大逆転を導いた浦和の“成功体験”と裏目に出た川崎の決断 「憲剛さんがいなくなって…」
ACLでは直近のホーム戦で8勝1分
もちろん、浦和サポーターが多く詰めかけた埼玉スタジアム特有の空気感も、時間の経過とともに川崎を呑み込んでいったのではないだろうか。浦和はこの勝利で、ACLにおける埼スタでの直近9試合の成績を8勝1分とした。その空気感は、先制ゴールをアシストしたMF矢島慎也も「勝ち越せたのはスタジアムとサポーターの力もあると思うし、その雰囲気で持っていった感がある」と話した。
クラブはこの試合で当日券料金を撤廃したが、淵田敬三代表は試合後に「当日だけで8000枚ほどのチケットが出ました」と明かした。この一戦を出場停止になっていたMF武藤雄樹や負傷欠場のMF宇賀神友弥は、試合前日にビラ配りに参加して観戦を呼びかけた。そうしたクラブ一丸となった体制と、それに応える浦和サポーターの力というのは、この一戦の勝敗を左右した存在として無視できないだろう。
浦和は組み合わせ抽選の時点で、決勝ラウンドに入ってからは全てのカードで第2戦をホームで戦う位置に組み分けられていた。興梠は「次の準決勝も、アウェーで負けたとしても大差でなければホームで逆転できると思う」と話した。浦和の持つ絶大なホームアドバンテージは、2007年以来のアジア王座奪還へ向けた大きな武器になっている。
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轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images