歴史的な大逆転を導いた浦和の“成功体験”と裏目に出た川崎の決断 「憲剛さんがいなくなって…」
川崎がボール支配を手放し“慣れた展開”に…
これは浦和にとってプラスに働いた。1-1に追いつく同点ゴールを挙げた興梠は、試合後に「同点ゴールでちょっと復活して、退場でかなり復活した。個人的には(中村)憲剛さんがいなくなったことがラッキーというか、カウンターでも1本のラストパスを出せる選手なので、助かったなという感じがしますね」と話した。
そして、後半になると川崎は引いて守り、浦和がボールとゲームを完全に制圧する形になった。浦和にとって、これまで川崎の何を苦手にしていたかと言えば、ボールポゼッションを主体にしたいチームなのに、それ以上に川崎にボールを持たれ、回されてしまうことだ。だがこの試合では、退場者を出した川崎がその状況を作る意欲を完全に手放したことで、浦和は引いて守る相手をなんとか崩して得点するという、ある意味では慣れた試合展開に推移した。
裏返せば、川崎はボール支配を完全に明け渡して水際で耐えるという試合展開の経験値がそれほど高くない。その決断は、浦和に勢いを与えた。
何より、浦和の選手たちにはラウンド16の済州ユナイテッド(韓国)戦での成功体験があった。この時も敵地での第1戦を0-2で落とし、突破が絶望的と言われたなかから逆襲に成功している。GK西川周作は川崎戦の前日に、「その成功体験があるからこそ、自分たちの力を信じられる」と話していた。彼自身はこのゲームで失点に絡んでしまったが、チーム全体にそのメンタルがあったことは、大逆転を導く助けになった。