新たな歴史の幕開けに時代は変わる

栗原に関しては確かに調子を落とした時期もあったが、今年は持ち前の空中戦や1対1の強さが際立ち、Jリーグでアピールを続けてきた。中澤に関しても、その存在は依然としてチームに安定感をもたらしている。年齢や映像のダイジェストの印象だけで「衰えた」とする安易な批判もあるが、選手間では相変わらず評価が高い。今季、チーム自体の調子がなかなか上がらない中で失点数が少ないことからも、両CBの能力の高さがうかがえる。

しかし、結果的にザッケローニ監督は彼らを選択しなかった。相変わらず日本の失点は減っていないが、CBのポジションでは最後までテコ入れをしなかったのである。そこには、攻撃的な戦術を貫こうとする哲学や、やり慣れたメンバーで戦おうという意志がうかがえる。

前回大会では、闘莉王と中澤のCBコンビが日本の後方を支え、そのパフォーマンスはアーセナルのアーセン・ベンゲル監督からも絶賛されたほどだった。以来、4年が経過し、日本はまったく別のスタイルで世界に挑もうとしている。

ザッケローニ監督が最終的に決断したのだから、周囲も全力でバックアップするしかない。最後までブラジルへの道を諦めていなかった中澤も、この日の発表直後に自身のブログを更新し、選ばれたメンバーを全力で応援することを宣言している。伝統的に堅守を誇る横浜FMの系譜が一旦途切れたように、日本サッカーは着実に時代が変わりつつある。果たしてザックジャパンは新たな歴史を切り開くことができるか。その挑戦の末に、何かしらの足跡を残したいところだ。

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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文　text by Soccer Magazine ZONE web