搾乳を手伝うサッカーチーム「十勝スカイアース」 J参入の先に見据えるものとは
“地域総合型スポーツクラブ”として
そして、十勝が目指すところはJリーグ参入では終わらない。キーワードとなるのは“地域総合型スポーツクラブ”。サッカーだけでなく、野球、バスケットボール、テニス、バレーボール、陸上競技、空手など様々な競技のスクールを運営するリーフラスのノウハウを生かすことで、地域に密着し多様性を持ったクラブ作りが可能となる。
Jクラブではバスケットチームなども展開するアルビレックス新潟が、そのモデルケースとしてあるが、それ以外では日本全体を見ても数は少ない。そうした状況を打ち破るポテンシャルが十勝にはあるという。「スポーツ庁も十勝スカイアースっていうチームが立ち上がり、Jリーグに向かっていることにものすごく注目しています。スポーツ庁から地域総合型スポーツクラブとして大成功するモデルケースを作ってくださいと言われています」と、周囲からの期待も日に日に大きくなっている。
十勝は元日本代表FW城彰二氏をクラブのスーパーバイザーとして迎えるなど、すでに社会人チームとは思えないほど豪華な体制を整えている。ここから地域リーグを勝ち抜いてまずはJFL昇格。そこから延長線上に続くJリーグへの道は決して平坦なものではないが、藤川氏は自信に満ちた表情で語っている。
「すぐにトップチームが勝てるか勝てないは別ですよ。私は長い目で見ていきます。でもね、“地域総合型スポーツクラブ”という面では、どのJリーグチームも一気に抜いちゃうと思いますよ」
十勝は日本のスポーツ界に新たな風を吹き込んでくれそうだ。
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石川 遼●文・写真 text & photo by Ryo Ishikawa