苦悩の本田が名門ミランで戦う難しさを語る 「イタリアで最も政治的」
監督のプレッシャーは計り知れない
選手との距離感を縮め、連動性を高めることがチームとしての課題だ。シルビオ・ベルルスコーニ会長がかつてのような投資を惜しみ、アドリアーノ・ガリアーニCEOは移籍金のかからない選手ばかりを獲得している。
タイトルを次々に獲得した黄金時代のようなワールドクラスの実力者は存在しない。打開するには組織力を高めることも有効策かもしれない。だが、本田のような考えの持ち主はチームでは少数派のようだ。
その一方で、ベルルスコーニ会長は将来的に有望な若手のイタリア人でチームを固めたいという意向を常々示していた。1月の移籍市場でもそれは顕著に表れた。イタリア代表経験者がチームに次々と加わり 、イタリア人選手が増えた。
そして、「フィリッポ・インザーギ監督は遠慮しているのか?」という質問について、本田は「わからないですけどね。でも、少なくともイタリアのチームで一番政治的なクラブ。それが良くも悪くもですけれど、監督のプレッシャーは計り知れない」と応えた。
ミランは元イタリア首相のベルルスコーニ会長が試合のシステムや選手起用など現場介入することでも有名。そして、地元メディアは会長の娘であるバルバラCEOと、ガリアーニCEOが主導権争いを繰り広げ、不仲を報じている。スタンドのティホージもクラブに圧力をかける。ピッチ外のさまざまな力が指揮官に襲いかかり、ピッチ内にも影響を及ぼす可能性もあるという。
2試合連続で先発落ちしている 本田は4カ月以上ゴールと、アシストから遠ざかっている。見えない力は、背番号「10」の起用法にも影響を及ぼしているのだろうか。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images