日本戦でも鍵となる豪州の新布陣「3-2-4-1」 ハリルJが警戒すべき攻撃パターンとは?
3-2-4-1システムで増えた中央突破
まず、オーストラリアの最終予選の戦いぶりから振り返ろう。8試合で4勝4分と負けなし、14得点8失点と一見すれば好調なチームの数値に映るが、思うように得点を取れずにいた。特にフォーメーションの変化を施す前、第7節終了時点での得点数は11。内訳を見ればPKが3点、コーナーキック(CK)から5点と、流れのなかから得点できていないことは明らかだった。そこでチームの攻撃力を向上させるための策として、システム変更に着手したものと思われる。
[DATA-1]は、最終予選での得点ゾーンを図解したものとなる。注目すべきは流れのなかからのゴールが5得点しかなく、そのうち3得点が右サイドからの崩しとなっている。またCKは全て、左からというのも特徴的だ。
[DATA-2]は、システムを変更した第8節サウジアラビア戦(3-2)以降のオーストラリアの得点ゾーンの図解となる。親善試合ブラジル戦(0-4)を挟み、コンフェデレーションズカップでカメルーン(1-1)、チリ(1-1)、ドイツ(2-3)と計5試合を行った。大きく変化したのは、CKから得点に結びつくケースがなくなり、中央突破のケースが増えている点で、PKやエリア内で相手のミスをものにする嗅覚も維持している。
日本が警戒すべき、オーストラリアの3-2-4-1システムにおける狙いが明確に見えたのが、チリ戦の得点シーンだった。チリのGKがセンターライン付近の選手に向けて低弾道のパスを出した瞬間、オーストラリアのDFセインズベリーが猛然とプレスをかけてボール奪取。FWクルーズがドリブルで持ち運ぶ瞬間、両ウイングバックを務める右のFWケーヒル、左のMFトロイージはワイドにポジションを取っており、FWユリッチやMFアーバインはセインズベリーのオーバーラップに備えて、中央にスペースを作る動きを行った(DATA-3参照)。
対応が遅れたチリ守備陣の隙を突き、ドリブルで運んだクルーズが中央を駆け上がったセインズベリーに戻すと、ゴール前でボールをキープし、もう一度パスを受けたクルーズが左サイドへ流してフリーのトロイージが決めてみせた。