ヴェルディ黄金期のGK藤川孝幸 指導者からビジネスマンへ、50代での華麗な転身
セカンドキャリアで求められる切り拓く力
一般企業からすれば、彼らは「実績なし」と見られてしまうからだ。「(選手は)セカンドキャリアに対して閉鎖的なんですよ。『俺にはできないんじゃないか。営業をやらされるんじゃないか』というふうに普通の選手は思ってしまう」と語っていた藤川氏は、今までに培ってきた人脈と新しい環境に真摯に向き合ったからこそ成功につながった。
「サッカーだけをずっとやってきた人間が、会社に入って柔軟に対応するのってやっぱり難しいと思いますよ。でも自分は入社してから、最低1年は誰よりも早く来て、掃除から何から全部やると決めていました。結局、2年半続けました。朝6時前後には必ず会社にいて掃除をしていました。ゼロからスタートしたわけですから、誰よりもまず自分が最初に行く。当たり前です」
選手としても指導者としても実績を残しても、将来のことは何も分からない。一寸先は闇という状況で、サッカー選手には自らセカンドキャリアを切り拓いていく力も求められる時代になっているようだ。
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石川 遼●文・写真 text & photo by Ryo Ishikawa