宮本恒靖が語る日本代表の現在地 W杯代表メンバー発表で注目される最後の一押し

自分たちの良さを生かしてほしい

 ザッケローニ監督は今まで培ってきた戦い方を、W杯でも大きく変えることはないでしょう。ただ、世界と戦う上では自分たちが主導権を持てる時間に対して、相手に押し込まれる時間が長くなるのは事実です。だからと言って、本大会で勝つために自分たちの良さを捨てるべきでないですし、5大会連続出場のチームがやるべきことではないと思います。

 確かにW杯で勝つことは大事ですが、既に日本にも過去2回、ベスト16まで進んだ歴史があり、歴史を作るために何が何でも結果を求めるという時代ではありません。ザッケローニ監督が構築してきた攻撃面の良さを生かして戦った方が、日本サッカーの将来につながると思います。

 5月12日のメンバー発表後、国内最後の試合となるキプロス戦を前にした段階は、「このメンバーで戦っていくぞ」と気持ちが盛り上がっていくタイミングです。今までのチームづくりの流れがあるとはいえ、最終的にメンバーが決まったこの段階で、本大会へ向かうための全員の気持ちづくりを行ってほしいと思います。

 本番が近づくにつれて選手たちの緊張感は徐々に高まっていきますが、米国・タンパの直前合宿まではそれほどでもないでしょう。やはり、最後に現地のブラジルに入り、警察の誘導で移動するなどのタイミングで、いよいよ本大会だという実感が沸いてくるものです。

 W杯はいろいろなストレスがかかる大会ですが、日本も今回で5回目の出場です。ピッチ上の経験だけでなく、ブラジルでの宿舎の選択や現地へ入るタイミングなど、選手たちが良い状態でプレーできる環境づくりも含めて、日本代表が積み上げてきた蓄積が形になっていると思います。選手たちだけでなく、日本代表がチーム一丸となって戦ってくれることを願っています。

【了】

宮本恒靖●文 text by Tsuneyasu Miyamoto

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