- HOME
- 今日のピックアップ記事
- 果たしてベストの選択なのか? マンチェスター・U番記者に聞く、ファン・ハール監督への本音
果たしてベストの選択なのか? マンチェスター・U番記者に聞く、ファン・ハール監督への本音
ファン・ハールを語る番記者たちの表情には興奮も輝きもない
こうしてマンチェスター・U番記者5人に話を聞いた結果、ベストの監督として名前が上がったのは、アンチェロッティ、グアルディオラ、クロップ、ギグスの4人。ファン・ハールを一番手に推す記者は1人もいなかった。
もちろん、性格的な問題もあるのだろうが、それは豪腕監督なら誰でも少なからず抱える問題だろう。特効薬につきものの強い副作用のようなものだ。
それでも勝てば問題はない。しかしマンチェスター・U番記者達はファン・ハールでは勝ち切れないと感じているのではないか。
それは、5人が5人ともファン・ハールを語る際、その表情に興奮も輝きも浮かべず、それぞれが物足りなさを口にしたことでも明らかだ。
サー・アレックスがモイーズを後継者に選んだ時、誰もがこの物足りなさを胸に抱いた。しかし偉大な先代の後押しがあれば、モイーズもいつかマンチェスター・Uのサイズに追いつく大監督になるかも知れないと夢を描いた。
しかしその夢が無惨にも打ち砕かれた今、人々はマンチェスター・Uと見事に釣り合う監督の到来を望んでいる。
結局その思い――マンチェスター・Uというクラブと寸分狂わぬ監督に来て欲しいという思いが、モイーズ解任後に流れている、歓迎ムード一色とはならない、一連のファン・ハール報道に表れているのではないだろうか。
62歳という年齢で、「心からその仕事を望み、私がその人物だと願う」と語ったファン・ハールの意欲は見事だが、こうした半信半疑の英メディアの反応を見ると、来季、初年度から相当な重圧がかかるのは確実だ。
豪腕を発揮し、勝ち続けてデビュー・シーズンから優勝争いに加わるような戦績が残せれば良し。欧州CL出場権奪回は当然の条件になると思うが、さもなければ英メディア上でモイーズ以上の逆風が吹くのは必至だろう。
タフで傲慢といわれるファン・ハールだが、その性格をもっても、マンチェスター・U監督就任は厳しいいばらの道になりそうな気配に満ちている。
【了】
森昌利●文 text by Masatoshi Mori