【戦術分析】磐田とC大阪の狙いが見えた白熱のドロー 両者の共通項は“戻るべき幹”

近い将来、日本を代表するボランチに…

 最後に、磐田の川辺について言及したい。この試合を含め、磐田の好調の一因は川辺の成長であり、質の高いプレーである。川辺は広島ユース出身で、もともと年代別の代表にも選出されたポテンシャルを秘めている選手だったが、広島から出場機会を求めて磐田にレンタル移籍していた。

 川辺のボール配球力、ボールを前に運ぶ力、攻撃センスは以前から秀でていたが、守備の部分の強さやタフさは課題の一つと見られていた。しかし、現在の磐田でのプレーぶりを見ると、守備面での運動量、攻守の切り替えの早さ、球際で奪いきる力、予測したポジション取りと全てが向上し、高いレベルで実践している。

 川辺はC大阪戦の走行距離で磐田トップの11.101kmをマーク。両軍でも日本代表のC大阪MF山口蛍の11.279kmに次ぐ記録だった。スプリント数も川辺はチームトップの15回。両軍のMF陣では、山口とMF水沼宏太の16回に次ぐ数字だった。

 今季の開幕時点から比べても急激な成長を遂げている一人だろう。攻撃センスは十分であり、ボールを自ら運んで攻撃に絡むこともできる。そのうえ、守備面でのハードワーク、デュエルで強さを発揮している選手は、現在の日本代表を見てもそう見当たるものではない。今のまま成長曲線を描けば、近い将来、日本を代表するボランチ、中盤の選手になることも想像させるプレーぶりと言えるだろう。

【了】

フットボールゾーンウェブ分析班●文 text by Football ZONE web analytics group

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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