【戦術分析】磐田とC大阪の狙いが見えた白熱のドロー 両者の共通項は“戻るべき幹”

 

5-4-1へのシフトは理に適っていたが…

 後半が始まってからも、磐田が押し込む時間が続く。特に中村のサイドチェンジからサイドへ展開し、クロスを川又が合わせるという狙いが見え、後半11分にその形からバー直撃の決定機が生まれた。

 ここでユン・ジョンファン監督が動く。C大阪は後半14分にFWリカルド・サントスに代えてMF木本恭生をCBとして投入し、システムを4-4-2から5-4-1に変更。DFを5枚にして幅を使った磐田の攻撃に蓋をしにきたのである。

 守り切るには、残り30分以上を残しての選手交代とシステム変更は早すぎるとの向きもあるが、これは効果を発揮した。守備時は自陣に5-4-1のコンパクトな2ラインを形成。サイドからのクロスに対しても、5バックにしたことでアプローチが早くなり、押し込まれはするものの最後のところで身体を張って防いでいた。

 一方の攻撃では、前述したニアへの速いクロスで後半18分に杉本のヘディングがポストを叩く場面があり、さらに同28分にもカウンターから杉本がフィニッシュと二度の決定機を作り出している。いずれかが決まっていれば、ユン・ジョンファン監督が語った「追加点を決めることができれば、もっと良い試合になった」という展開になっていたと考えられる。

 試合は1-0で迎えた後半41分、磐田が右CKの流れからストロングポイントである中村の左足パスに、最後は川又がヘディングで合わせて同点ゴールを決め、そのまま1-1ドローで終わった。同点ゴールが生まれた場面、C大阪がCKの守備時にゾーンで対応というのを頭に入れていた中村がショートコーナーでワンクッション入れ、ゾーンから微妙に外した場所に正確なキックを送るという、冷静な頭脳とキック精度を見せつける狙い通りのゴールであった。

 

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