【戦術分析】磐田とC大阪の狙いが見えた白熱のドロー 両者の共通項は“戻るべき幹”

1-1で終わった好調チーム同士の一戦を戦術的視点で分析

 19日に開催されたJ1第23節では、直近8試合で6連勝を含む7勝1敗と好調のジュビロ磐田が、ホームのヤマハスタジアムにリーグ2位のセレッソ大阪を迎えた。試合は前半37分、FW杉本健勇が今季14ゴール目となる一撃を決めてアウェーのC大阪が先制するも、後半41分にCKの流れからMF中村俊輔のパスをFW川又堅碁が頭で合わせて同点に追いつく。白熱の攻防の末、1-1のドローに終わった一戦を戦術的視点から分析したい。

 この試合の総括に関しては、両監督のコメントが的を射ていると言える。磐田の名波浩監督は「立ち上がりから非常にゴールに向かっていく姿勢を見せ、相手を下げさせることを十分にやれた。戦前の我々の狙い通りのゲームができたんじゃないかと思う」とコメント。一方、C大阪のユン・ジョンファン監督は「先制点を決めて、良い流れを持つことはできましたけど、もう1点追加点を決めることができれば、もっと良い試合になったと思います」と振り返っている。

 名波監督が言及したように、立ち上がりから終始ボールポゼッションを高めて押し込んだのはホームの磐田だ(1試合を通じたボール支配率は磐田57%、C大阪43%)。特に前半37分にC大阪が先制するまで、「戦前の我々の狙い」が遂行されていた内容であった。

 その狙いとは、C大阪が守備時に4-4-2の陣形を組んでくるなかで、ボールサイドに形成されるコンパクトな守備ブロックをどう攻略するかということである。

 ユン・ジョンファン監督が徹底させている4-4-2は、特に中を絞めて、中央のバイタルエリアで相手に自由を与えない守備組織を形成する。その“中絞め”の攻略を図るうえで、論理的には中を絞めている以上、当然サイドにスペースが生まれており、ゴールを奪うにはサイド攻略がポイントとなる。しかし、テンポの遅いパスや各駅停車のようなつなぎであれば、C大阪の守備ブロックは簡単にスライドし、ボールサイドに蓋をしてくるため攻略は簡単ではない。

 

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