Jリーグからは消えない――昨季リーグ2位&天皇杯優勝の横浜F・マリノスが単年度の黒字化に成功
クラブが成績と経営の両面で不振にあえいだ09年7月、日産自動車の再生プロジェクトリーダーの一人として辣腕を振るった嘉悦朗氏が社長代行に就任。翌10年からは社長として赤字体質だったクラブにテコ入れを行ってきた。
2008年までの横浜FMは親会社の日産自動車に大きく依存。多額な赤字を補填してもらうことで表向きは黒字をキープし続けてきた。しかし、2009年以降はその支援を「適正な額」にまで減額。同年は人件費を削ることで何とか黒字を維持したが、チーム編成にも大きな影響を及ぼし、結果、10位という低迷を招いてしまった。
嘉悦社長は持続可能性を意味する「サステナビリティー(sustainability)」という哲学を掲げ、親会社への重度の依存や赤字の体質を改善しつつ、一定の人件費を維持して成績を向上させる道を選択。一時的に多額の赤字が表面化することになったが、覚悟の上だった。