真冬に冷水シャワー クレスポコーチが経営危機のパルマの実情を告白

電気代未払いによって施設は停電中

 経営危機に直面しているパルマは、電気代未払いでクラブの施設内の停電が続いていると、地元テレビ局「スカイ・イタリア」が報じた。
 パルマは、オーナーが1ユーロ(135円)で所有権を売却し、政府への納税にも応じられず、破算危機にひんしている。元イタリア代表FWアントニオ・カッサーノや、DFフェリペは給与未払いを理由に契約を解除。1月の移籍市場では人件費を軽減するために主力を次々に放出するファイヤーセールを敢行した。パルマの選手のみならず、全スタッフの今季給料未払いが続いているという。
 エンニオ・タルディーニ競技場の警備代が支払えずに22日の本拠地ウディネーゼ戦の開催延期が正式決定する危機的状況となっている。
 さらに、パルマのプリマベーラ(U-18)の活動にも暗雲が漂っている。元アルゼンチン代表FWで現在パルマユースのエルナン・クレスポコーチは、クラブの苦境を「来週サンプドリアに遠征に行く資金があるかどうか、我々には分からない」と語っている。そして、パルマが立たされている実情をこう告白している。
「この状況を直視し、潜り抜けるのは本当に苦しい。選手や子供たちのためにみんな全力を尽くしている。今日練習できたのは、芝の管理人が我々のために配慮してくれたから。(クラブハウスには)電力が供給されていないので、冷たいシャワーを浴びている。だから、選手の体調は悪くなる一方だ。ロッカールームの清掃スタッフも補償されていない。我々はバラバラになっている。みんな、このクラブも子供たちを愛しているので、このまま進めたいと思っている。だが、練習場の状況が悪化する状況は見るに堪えない。選手だけでなく、パルマの全スタッフに支払うべき給料を支払う経済的な補償をできる人間に会いたい」
 現役時代にゴールを量産し、スタンドを熱狂させたクレスポコーチの魂の叫びは切実だ。コレッキオの練習場とクラブハウスには電力の供給もストップしているという。冬の寒さに冷水シャワーを浴びる選手は、体調を崩しながらも苦しい日々と向き合っているという。
 中田英寿氏が2001年から04年まで在籍し、日本のサッカーファンにもおなじみのパルマ。過去には現在ユベントスのイタリア代表GKジャンルイジ・ブッフォンら世界屈指の名手も輩出してきた。イタリア杯優勝3回、ヨーロッパリーグ(UEFA杯)優勝2度を誇る名門クラブは、03年の親会社のパルマラットの破産がきっかけでクラブ経営は悪化の一途をたどっている。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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