「100%の若手より70%の中心選手」 “強豪浦和”の陰にあったレギュラー固定化の弊害
諸刃の剣だった“ペトロヴィッチ流” 就任5年半で常に上位を争ったが…
浦和レッズは、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督との契約を7月30日で解除し、同日から堀孝史新監督がコーチから昇格する形で指揮を執ることを発表した。通訳も務めていた杉浦大輔コーチとの契約も同時に解除し、週が明けた1日には長嶺寛明アシスタントコーチも辞任した。クラブ最長の6シーズン目に入っていたペトロヴィッチ体制の最終盤は、これまでの強みが時間を経て“諸刃の剣”としてチームに襲いかかっていた。
ペトロヴィッチ監督が2012年に就任して以降の浦和は、特に6月くらいからは予想スタメンを作るのが非常に簡単だった。ある主力選手と若手選手との差について、指揮官は「70%の状態の中心選手の方が、100%の若手選手よりチームに力を与える」と話したことがある。序列をハッキリさせ、レギュラーが固定される傾向の強い選手起用は、浦和で指揮を執った時間の前半部分ではプラスに働いた。
GKも含めた後方からのポゼッションを大事にし、連動性とコンビネーションを重要視してきた。そのサッカーを表現するには、同じ選手たち、同じ組み合わせでプレーする時間が長ければ長いほどいい。サンフレッチェ広島の監督時代に指導した選手が多く浦和に加入したことも、その流れを加速させ、チームのコンセプトと戦術を理解する選手たちが、さらに長い時間を一緒に過ごせば、精度が向上していくことは当然の成り行きと言えた。そうしたペトロヴィッチ監督のチーム作りは、短期的には成績の回復、中期的には安定化へとつながっていった。