ザッケローニ監督と一線を画すJ初のイタリア人監督の哲学 Jリーグで萌芽したもう一つの“カルチョ流”
「私は特定の監督からではなく、プロ選手としてキャリアを過ごした90年代のイタリアサッカーに多くの影響を受けている。当時は、よりオフェンシブで、フィジカル面、戦術面でも大きな発展を遂げた革新的な時代だった。ザッケローニ監督は、基本的には我々の一つ前のジェネレーションだと言われている。実際に私が選手だったころ、ザッケローニ監督はすでに指揮をしていた。ザッケローニ監督も当時としては、斬新な3-4-3というシステムを導入し、間違いなく新しい流れをサッカー界にもたらした監督だと思う。もちろん学ぶべきものはたくさんあったし、敬意を払うべき存在だった」
イタリアでは10-11シーズンにスクデットを獲得したマッシミリアーノ・アッレグリACミラン前監督と並び、ニュージェネレーションの一人として名前が挙がる存在である。だが、アバンギャルドな戦術家というよりも、着古されたモノの良さを大切にし、その機能性を再発見させてくれる指導者だと言えるだろう。フィッカデンティは目指すチームのスタイルについて開幕直後にこうも語っている。
「体力的な問題で90分間、攻撃的な守備をすることは不可能だ。時間帯、試合の状況に応じて選手たちが意識的に攻撃的なディフェンスを仕掛けるときと、我慢して耐える時間帯を見極めなければいけない。そこがサッカーの醍醐味であり、私自身が好きなスタイルでもある。今後、対戦相手によって自在に戦い方を変えることができるようになれば、相手にとっては勝つことが難しいチーム。つまり良いチームになっていくだろう」