元ミランCEO、伊衛星放送局の新社長に就任 政治力を発揮、サッカーメディア界に君臨
本田の恩人・ガリアーニ氏 ベルルスコーニ・ファミリーとの強力な絆は健在
ACミランに日本代表FW本田圭佑を加入させた元ミランCEOのアドリアーノ・ガリアーニ氏が、イタリア衛星放送局「メディアセット・プレミアム」の新社長に就任することが発表された。
ガリアーニ氏は、シルビオ・ベルルスコーニ会長時代のミランで二頭体制を築き上げ、強化責任者として長年にわたって君臨した。2012年にクラブが財政難に陥ると、培ってきた政治力を発揮して“ゼロ円移籍”での格安補強路線に舵を切った。そのうちの一人が、CSKAモスクワを契約満了になったタイミングでの本田獲得だった。
本田はガリアーニ氏について「ミランに連れてきてくれた存在」と話したこともあり、欧州の名門クラブで「10番」を付けるというキャリアでも特筆すべき時期を導いた恩人にもなる。しかし、昨季終盤にミランが中国資本に株式売却で合意した時点で、クラブから去ることが決定。ベルルスコーニ氏とガリアーニ氏による体制は終焉を告げていた。しかし、ガリアーニ氏とベルルスコーニ・ファミリーの絆は強力で、いまだ健在だったようだ。同局はベルルスコーニ氏が創立した民放局であり、その影響力は大きい。
近年、Jリーグの放映権を獲得した「DAZN」(ダゾーン)のようなインターネットストリーミングが存在感を増しているが、同局はガリアーニ氏の就任を「秋に予定されている2018年から21年までのリーグ放映権の入札を前に、会社の信頼性を高めるため」と説明している。サッカー界の各所に太いパイプを持つガリアーニ氏をリーダーに据えることで、体制の強化を図るとした。
近年では、ミランの黄金期を知るOBから批判を受け、元イタリア代表DFパオロ・マルディーニ氏からは「サッカーを知らない強化責任者」という辛辣な言葉も投げかけられた。スキンヘッドの強化責任者はその肩の荷を下ろしたが、持ち前の政治力を発揮してサッカーメディアの世界に君臨する模様だ。
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フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images