復活の特効薬とは

　現時点で今野の不調がザッケローニ監督の代表選考に影響するとは考えにくい。レギュラーメンバーに絶大な信頼を置く指揮官だからこそ、今野がケガか病気でプレーが不可能な以外は、おそらく23名枠に入るだろう。

　ただし、代表発表までの残り３試合で自分のフォームを取り戻すことは少し困難かもしれない。環境が変わらなければ、今野個人の不調を劇的に変えるキッカケや刺激を得られる可能性は低いからだ。

　だが、復活の策がないわけではない。チームメートの遠藤保仁はクラブで不調が続いても、代表に入って刺激を受け、質の高い選手の中でプレーすることで自分の調子を取り戻してきた。気持ちが前のめりになりがちな今野だからこそ、環境を変えることで元の自分を取り戻せるということは往々にしてあるはずだ。もっとも、ニュージーランド戦で風邪を引かずに出場していれば、深い悩みの日々に陥らずに済んだのかもしれない。もがき苦しむ日本代表は、それでも前を向く。

「まぁこのままで終わるわけにはいかない。つらいけど、これを乗り越えれば成長できると思っているし、オレはこのままじゃ終わらないって信じている。自分が良くなればガンバも絶対に良くなる。いろんなプレッシャ－はあるけど、人のせいにせず、自分で解決していきたい」

　もうしばらくの試練と我慢がつづきそうだが、Ｗ杯本番までまだ時間はある。今野にも“春”は、必ずやってくるはずだ。

佐藤俊●文　text by Shun Sato