中国勢の“爆買い”沈静化でJリーグに恩恵? 英国人記者がアジア移籍市場の勢力図を分析
「メガディール実現の可能性は低かった」
「そもそも、今夏のマーケットで派手な動きを見せようとしていたのは、天津権健など“これからのチーム”たち。上海上港や広州恒大といった上位チームは、すでに外国人枠がスタープレーヤーたちで埋まっているし、今シーズンの前にはその枠も一つ減らされている。よって、メガディールが実現する可能性はこれまでより確実に低かった。
ただ、日本勢が狙うラインの選手となれば、そうした“これからのチーム”との争奪戦になることも考えられる。その意味で、移籍金と同額の税金を納めなければならなくなった中国勢は不利になり、それ以外の国のチームにはメリットとなる。実際、中国各クラブは新ルールが適用されてから、静観を決め込んでおり、まずはどこかのライバルが動き出すのを見て、その結果によって自らの動向を判断しようとしているようだ」
今年に入ってから中国サッカー協会が設けた新ルール――外国人枠の削減や移籍金に“100%”の税金を課すといった規制は、確実に中国クラブの新外国人選手獲得の抑制につながっているようだ。
実際に今夏の目立った動きは、1月にドルトムントと合意し、グラナダへのレンタル移籍を経て今夏から重慶力帆に加入したコロンビア代表FWアドリアン・ラモスと、総額45億円の買い取りオプション付き期限付き移籍でケルンから天津権健に加入したフランス人FWアントニー・モデストくらい。逆に外国人枠が減らされた影響により、広州富力から韓国代表DFチャン・ヒョンスがFC東京に流出し、江蘇蘇寧所属のオーストラリア代表DFトレント・セインズベリーには浦和レッズ移籍の噂が浮上している。