ベンゲルがファン・ハールを擁護 「ロングボールを多用したのは自然のこと」
ライバルに助け舟
アーセナルのアーセン・ベンゲル監督が、ロングボールを多用する戦術で批判を受けているマンチェスター・ユナイテッド(マンU)のルイス・ファン・ハール監督を擁護したと、「ESPN」が報じている。
オランダ人指揮官は就任後、チームをUEFAチャンピオンズリーグ進出圏内へと導いているが、その戦術にはサポーターや、元イングランド代表ポール・スコールズ氏ら有力OBからも多くの批判を浴びてきた。地元メディアも「ロングボール・ユナイテッド」と報じ、放り込みサッカーをやゆしてきたが、ライバルクラブの名将が助け舟を出した。
「ファン・ハールは 自己弁護をする必要はない。選手には知性がある。チームは自然と長所を押し出すものだ。賢いチームならストロングポイントからいかに相手のスキに漬け込むかを分かっている。ファン・ハールは選手にもっと長いボールを蹴れとは指示していないと思う。フェライニがピッチにいるのなら、最終ラインの選手は“フェライニに蹴れば、ファン・ペルシーかルーニーがゴールを決めてくれるだろう”と考える。それが自然じゃないか」
ベンゲル監督は、ヘディングにめっぽう強いベルギー代表MFマルアン・フェライニがピッチにいれば、周囲が自然とロングボールを選択してもおかしくないと語った。それは、アーセナルでも同じだというのだ。
「もしもチームにジルーがいれば、他の選手はロングボ ールやクロスを増やそうとすぐに考える。もしもジルーが競り勝てば、セカンドボールを手にすることができる」
こちらも高さを強みにしているフランス代表FWオリビエ・ジルーがいれば、連動性に優れたアーセナルといえど、クロスやロングボールの回数は自然と増えるものだと主張する。
「私は我々の選手に最もあった戦術を選んでいる。ビッグクラブにはチャレンジする理由や、勝つためのスタイルというものが存在するが、第一は試合に勝つ事。もしも、残り5分リードされていたら、ショートパスでの崩しがいつものように好まれるわけではない。マンUはウェストハム戦でロングボールが多かったが、それは同点に追いつこうとしたまで。完全に合点がいく」
かつてタイトル争いを展開 した宿敵に対する助け舟に大きな波紋が広がっているが、フランス人指揮官によるロングボールの必然性は実に理路整然としていた。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
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