“期待外れ”のレッテルを貼られたストライカー、エース頂上決戦の主役に躍り出る
リーグ戦初ゴールは貴重な決勝点
ダニエル・スターリッジとハリー・ケイン、どちらがイングランド代表を担う真のエースストライカーか。世界の注目を集めた10日のリバプール対トットナムの対戦。「英国エース頂上決戦」とまで表現されたこの大一番で主役に輝いたのはスターリッジでもケインでもなく、メディアからもその姿を消しつつあった、期待外れのレッテルを貼られた男だった。
リーグ戦25節リバプール対トットナムの一戦は60分間で4ゴールが生まれ、打ち合いの様相を呈した。その中で注目を集めたのは、やはりスターリッジとケインのエース対決。ケインは前半26分に貴重な同点弾を決め、スターリッジも前半ロスタイムに巧みなヒールキックでポストを叩くなど、両者とも見せ場をつくり、観衆を湧かせた。
そして2-2で迎えた後半29分、この日の主役がピッチに投入される。その際に歓声はなく、それどころかその交代でエースのスターリッジがベンチへと下がったことで、ファンの間では試合の幕引きを悟ったかのような雰囲気さえ漂っていた。
しかし、その男はピッチに立った10分後、スタジアムに歓喜の渦を巻き起こすこととなる。後半38分、右サイドでMFアダム・ララーナが相手守備陣を振り切りグラウンダーのクロスを入れると、絶妙なタイミングで飛び出した背番号「45」が冷静に合わせネットを揺らしたのだ。
観客はどよめきに近い歓声をあげ、普段は自軍がゴールを決めた時でも表情を崩さず拳を突き上げるだけのブレンダン・ロジャース監督も、その男の待望のゴールに、心からの笑顔で叫び声をあげ、渾身のガッツポーズを見せた。
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