宮本恒靖氏から見る日本代表の対戦国の特徴 ブラジルW杯グループリーグ突破の糸口は?
神は細部に宿る
本番までに、細部の質を高めることが重要となる。
例えば、セットプレーだ。
サインプレーを試みているようだが、なかなか得点に結びついていない。本大会までに、その精度を上げることはできる。スローインからどう攻撃に結び付けるかも含め、最後の仕上げが必要だ。
さらには、ザッケローニ監督が良い緊張状態を保ちながら、一体感を生み出せるチームを作れるかどうか。大会期間中は、どうしても試合に出ている選手とベンチに座る選手の間で、気持ちの温度差が出てくるものだ。そんなとき、チームをうまくまとめるために、チームを支えてくれる選手が必要になってくる。日韓大会でトルシエは、秋田(豊)さん、中山(雅史)さんを招集した。前回大会では、(川口)能活やイナ(稲本潤一)が入ってチームをうまくサポートしていた。そういう選手を招集するのかどうか。
また、ワールドカップは非常にストレスのかかる大会なので、試合以外の時間をどれだけリラックスして過ごせるかが重要になる。ドイツ大会のベースキャンプ地のボンでは、気分転換に散歩をしようとしてもホテルの外には観光客がたくさんいて、なかなか静かな時間を過ごすことができなかった。反対に南アフリカは、ゴルフ場のホテルだったため、選手は外部との接触を断ってリラックスできていたと聞いている。
今大会も家族との時間を設けたり、メディアの取材に応じる選手の数を制限したりする配慮も、練習の中身と同じように大切なことだ。
グループリーグの突破の可能性はある。初戦は、3試合の中の単なる1試合ではなく、グループリーグを突破できるかどうかを左右する最も重要な試合。勝ち点をあげて、ギリシャ、コロンビア戦へと弾みをつけたい。
【了】
宮本恒靖●文 text by Tsuneyasu Miyamoto