森保監督だからこそ保った広島の結束 取り戻せなかった「堅守」と「自信」

浦和戦に敗れてJ制覇三度の名将が退任 開幕から止まらなかった失点

「優勝争いより今の戦いの方が難しい」

 森保一監督は、そう吐露したことがある。泥沼にハマり込んでいくようだった今季の前半戦、指揮官はもがき続けていた。

 第4節の北海道コンサドーレ札幌戦に1-2で敗れて3連敗を喫した後、「まったく余裕はないけど落ち着いて続けてこれている。内心穏やかではないけど、かといってバタバタしているわけでもない」と語る森保監督は、決して強がりではなく、巻き返していく自信を覗かせていた。

 しかし、第8節のベガルタ仙台戦で2点リードを瞬く間にひっくり返され、アディショナルタイムになんとか3-3の同点に持ち込んだ一戦の後は、チーム状況の難しさを痛感していた。

「後ろの選手は変わっていないので、これまで通りにやれると思っていたところもあったけど、新しいチームになったので一つひとつ確認しながら、経験を積みながらやっていかないといけない。それが今年だなって思うようになっている」

 失点が止まらなかったことが、指揮官の苦悩を深めた要因だった。

 森保体制6年目の今季はFW佐藤寿人(名古屋グランパス)、FWピーター・ウタカ(FC東京)らが退団したことで攻撃陣を刷新して臨むこととなり、攻撃が機能するまで苦戦を強いられることは織り込み済みだった。そのためシーズン開幕前には切り替えのスピード、運動量、プレー強度の向上を選手たちに求め、ボールを失ってもすぐに奪い返すことに力を入れて取り組んだ。

 

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