FC東京の不動のサイドバックに起こった9年目の“初体験” 世界にも羽ばたけたはずの男は今、何を思うのか

新人選手から届いた挑戦状

 

 その徳永に今年、プロ9年目で初めてのことが起こった。4月29日のJ1名古屋戦で55分、交代を命じられたのだ。怪我以外での交代はプロ入り後初のことだろう。試合直後、ミックスゾーンに出てきた徳永は「体が少し重かったけど、別に怪我とかじゃないです」と、淡々とした口調でそう語った。

 今季開幕前、活きの良いルーキーから「ポジションを奪いますよ」と、挑戦状が届いた。その送り主こそ、その日、徳永に代わってピッチへと送り出された松田陸だった。ギラギラした目の大卒ルーキーは、かつての徳永を彷彿させる。受け取った側は言った。

「オレも大学生のころは、失うものは何もなかった。ポジションを取ろうという気持ちをいつでも持っていた。それってオレだけじゃないと思うんですよ。人間ってそういう風になる。陸もそうじゃないですか。自分とやっぱり状況が似ていると思うし、だから俺は陸の気持ちもすごくよく分かる」

 時は巡り、かつての自分に似たルーキーが目の前に現れた。だが、8年にも渡って守り続けた椅子だ。簡単に明け渡すつもりもない。

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