今の日本代表に“ベテラン枠”はいらない フィリップ・トルシエが語る2002年W杯メンバー選考の真相とこの12年間の代表チームの変化
今の日本代表選手は10年前とは大きく変わった
――現在の日本代表にも、ワールドカップを戦うために中山や秋田のようなベテラン選手の存在が必要だと思いますか?
「日本の選手もマスコミもサッカーファンも、02年の頃からは大きく成長している。アジアチャンピオンにも2度輝き、ワールドカップにも連続して出場し続けている。日本代表のジャージは、私の時代よりも重みを増している。
さらに重要なことは、選手の多くがヨーロッパのビッグクラブでプレーしていることだ。毎週世界のトッププレーヤーと対戦し、一流の監督の指導を受け、チャンピオンズリーグでも出場を重ねている。
海外のトップ選手と対戦するときもコンプレックスを感じることがない。そして現地の言語を習得し、異なる文化を吸収している。日本代表の選手たちは、10年前と比べて大きく変わっているのだ。
こうしたことが代表チームに成熟を与えている。今の日本代表はベテラン選手の経験や力を必要とはしていないだろう。それぞれの選手が『中山』であり『秋田』なのだ」
【了】
安藤浩久●文 text by Hirohisa Ando
SW・レオ●写真 photo by Leo Shengwei