今の日本代表に“ベテラン枠”はいらない フィリップ・トルシエが語る2002年W杯メンバー選考の真相とこの12年間の代表チームの変化
――ワールドカップの日本代表メンバーに中山と秋田を入れるという決断をしたのはいつですか。
「信じてもらえないかもしれないが、メンバーを最終的に決めたのは、本当に発表(5月17日)ギリギリになったときだった。親善試合のノルウェー戦(敵地で5月14日に開催)で0-3と完敗した選手たちの顔を見て、『このメンバーで本当にワールドカップを戦うことができるのか?』と不安を覚えたのだ。
4年間に渡って築き上げてきたチームで、能力も高く、規律もあり、若い選手が多かったが、ほとんどの選手はすでに20~30試合の代表キャップを持っていた。コンフェデレーションカップではフランスやブラジルとの試合も経験し、スペインやイタリアとも対戦した。何も怖れるものはなかったはずだ。しかし、このチームには何かが欠かけているのではないかとかと思った。
『このチームにはリーダーが必要だ。チームを守る存在が必要だ』
まるで空から光が差したように、それは天啓のように私の頭にひらめいた。そのとき私の頭に浮かんだのが、中山と秋田の名前だった」