アギーレ監督招聘の功罪 手腕光るも日本サッカー協会が見逃した過去の疑惑

アギーレ監督の手腕を評価

 日本サッカー協会の大仁邦彌会長は3日、都内で記者会見に出席し、ハビエル・アギーレ監督の契約解除を発表した。ただし、会長は昨夏のブラジルワールドカップ(W杯)後、日本代表の監督に就任した同氏の選出に関しては正当性を主張している。
 昨夏のブラジルW杯は、1次リーグ敗退に終わった。そして、日本サッカー界は、その再建のかじ取り役をメキシコ代表やスペインリーグ1部で手腕を発揮してきたメキシコ人監督に託した。協会のトップである会長は、その選出自体、妥当な人選だったと考えている。
 会長は会見の席で「我々はアギーレ監督の手腕、力量を評価している。今までの日本代表のチームづくりにも高い評価を与えている。従いまして、できたらこの体制で今後も続けていきたい。告発が受理されなければ、何の問題もなく、今後もこの体制でいくと考えていた。その点を見極める必要があったのでこのタイミングになった」と語った。
 アジアカップオーストラリア大会では準々決勝でUAEにPK戦で敗れたが、1次リーグでは無失点で3戦全勝。選手交代など機を逃さない采配は、W杯などの大舞台を数多く踏んだ勝負師としての片鱗を見せた。
 だが、そうした手腕を発揮する一方で、任命後、その指揮官に疑惑の目が向けられた。
 スペインメディアは、アギーレ監督が指揮を執ったレアル・サラゴサ監督時代の疑惑を報じたのだ。負ければ降格が決まる2010-11シーズンの最終節レバンテ戦でサラゴサは2-1で勝利し、1部残留を決めた。だが、その試合で八百長があったのではないかというスキャンダルが伝えられた。そして、スペイン検察当局が告発。このほどバレンシア裁判所がこれを受理したという流れだ。
 アギーレ監督は、今月からスペインで司法当局の捜査に応じる義務が生じる。捜査内容で明らかになった事実により今後起訴、裁判となれば、日本代表監督としての業務に支障をきたし、日本サッカー界へのイメージダウンも計りしれない。大仁会長はアギーレ監督に対し、契約解除の理由を直接説明したという。
「アギーレ監督には契約解除の理由として、代表チームのW杯への影響、そのリスクを避けたいとうこと。八百長に関与したということではない。その事実はまだ確認されていない。アギーレ監督にとってこの問題は名誉に関わる大変大事な問題。事実の証明に全力を尽くしてほしいとも伝えた。アギーレ監督に私から直接契約の解除を申し入れ、監督はやむを得ないと同意した。誠に残念で申し訳なく思っている。特に代表選手、ファン、サポーター、スポンサーの皆様、関係者の皆様には大変ご心配をかけている。今回の結論を是非理解していただいて、支援していただきたい」

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